第二詩集 「男と女と死と」 1 ジャン-ポール アイカワ
1 「死の淵にて」
赤子は 己の意思なく 突然 子宮から この世に 押し出されて 生を受ける
老いると 人は 己の意思なく 突然 死が人を連れ去る
僕も ある日 突然 「癌です」と 医師から宣告を受けて 死の淵に立った 見知らぬ黄泉の国の入口に立った
時は 休むことなく刻み 人は 確実に老いていく 病は 痛みと苦しみと共に 必ずやって来る
何故の生か 何故の死か 元を質せば 世界三千民族の男達が 只ひたすら 乳房と女陰を揉みしだき 世界三千民族の女達が 只ひたすら 陰茎を揉みしだき 人の輪廻は 休むことがない 人の転生は 休むことがない
今 死の淵に立っていると 真の愛も 偽りの愛も 詰まるところ 仮の愛でしかないことが 身に沁みて分かるのだ
今 死の淵に立っていると 僕の生も 仮の生であったことが身に沁みて 分かるのだ
今 死の淵に立っていると 全てのものが 儚い仮の姿に見えて 全てのものが 愛おしく思えるのだ
今 死の淵に立っていると 全てのものが 儚い仮の姿に見えて 全てのものが 愛おしく思えるのだ
全てのものが 愛おしく思えるのだ
死が 僕を連れ去るとき 僕は 全ての呪縛から解放されて 又 元の赤子に戻ろう
死が 僕を連れ去るとき 乳を飲み終えた赤子のように 満ち足りた顔をして朽ち果てよう 不満足な人生であっても 満ち足りた顔をして朽ち果てよう したいことはみんなしてみたから 満ち足りた顔をして朽ち果てるのだ
僕の墓穴を掘る ツルハシの音が聞こえる ツルハシは云う 「ジャン-ポール アイカワよ! 墓穴に来い!」
埋葬行進曲と歌が聞こえる 歌は高らかに歌う 「ジャン-ポール アイカワよ
土へ帰る死を悲しんではいけない
」
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